「平成30年度 都道府県代表者情報交換会」に参加して

11月22日(木)アルカディア市ヶ谷において開催された「平成30年度都道府県代表者情報交換会」に当協議会代表として出席いたしました。本会は,各道府県看護教育関連団体代表者も含め総勢67校の看護師養成機関の参加で開催されました。以下にご報告いたします。

支部担当理事 松永貴美子

1.日本看護学校協議会よりの情報提供

  • 看護師教育課程試案

(1)試案作成に当たっては2025年以降の日本を予測、今後は市町村レベルでの「地域」が看護の主体になるとした。これまで看護基礎教育では、対象特性別看護学を画一的に運営してきたが、これから地域のニーズ、学校の教育理念を反映した特徴あるカリキュラムの柔軟的な開発・運営が必要となる。

(2)カリキュラム改正に向けて厚生労働省は「看護基礎教育検討会」を2017年9月より開催し現在までで9回の検討を重ねている。2022年度の入学生から新カリキュラムで教育される。なお、7領域の大幅な変更はないとのこと。

(3)「地域」は対象特性を超えた場として捉え、様々な発達段階、健康レベルの対象に対して、自ら考え行動できる学生を育てる教育や多職種連携教育の導入を目指す。

協議会から教育の基本的な考え方、教育課程の試案が報告された。

  • 看護師養成所指導ガイドライン(別表9及び別表13-2)の調査結果の報告

(1)対象は協議会の3年課程に対して行われ、回収率65.5%だった。

(2)別表9にある器械器具・模型の使用状況で、少ないものは煮沸消毒器7.8%。使用状況が60%を下回っていたものは22あり、うち13は模型だった。模型以外は担架、清拭車、洗浄用具一式、煮沸消毒器、手術用手洗い用具一式、小手術用機械器具一式、簡易浴槽、栄養指導用フードモデル、カセットテープであった。検討会で報告された技術教育に関しては、検討を重ねているところである。

3)次年度新規事業 日本看護学校協議会認定「教務主任養成講習会」

教務主任に求められる能力を育成するために、国は教務主任養成講習会の受講を推しているが、

実際に教務主任養成講習会を受講した上で、教務主任の職位についている者は僅か19.7%であった。多くの養成所は 10 人前後の教員で運営しており、教育の中核的役割を果たす教務主任を長期に(18 単位 400時間 約4か月)研修に出すことが困難である。一般社団法人日本看護学校協議会は、平成 27 年度から 3 年間、厚生労働省の補助金を受け、「教務主任養成講習会ガイドライン」に則った教務主任養成講習会を短期集中、分散型で開催してきたが、1 年間で最大 24 名、3 年間で 70 名の教務主任養成講習会の修了者を出すものの、数の確保に至っていない状況である。今後、講習会の内容と方法を以下のように見直し、新たな「教務主任養成講習会」を開催することにした。

(1)過去 3 年間の教務主任養成講習会の実績(受講生の調査)から教育内容を厳選した。

(2)e-ラーニングを導入し、受講しやすい形を整えた。

(3)対面授業として演習を設定し、受講生同士の学びあう機会を保障した。

(4)本講習会で学んだ者が後輩の指導にあたる、という屋根瓦方式を取り入れ、受講者の指導能力を高めるとともに、指導者の確保につなげ、多くの受講者を受け入れられる。

<質疑> 主任講習会の費用に関して

場所は関西(大阪)?・・京都で夏、冬は大阪。

11単位+翌年2単位・・1単位2万円=26万円予定(今までは50万円であった)

 

  • 今回の情報交換会に向けてのアンケート結果報告

1)都道府県単位の看護教員の継続教育の実態

  • 看護師等養成所の運営に関する指導ガイドラインについての要望

教員の定数見直し、実習指導教員の確保の義務化、教員養成教育の義務化、施設・器具の見直し、臨床での技術の乖離な是正など

 

3.厚生労働省医政局看護課 教育体制推進官の関根小乃枝先生の講話

看護基礎教育の見直しとして人口構造、疾病構造の変化、地域医療構想があること。

看護教育の変遷を述べ、続いて看護基礎教育検討会の進捗、新カリキュラム開始までのスケジュールが厚生労働省のホームページで確認可能であること。

次に看護基礎教育検討会の資料から、平成20年第4次カリキュラム改正の評価、実習施設不足領域(母性、小児)シミュレーション教育実施状況、ICTを活用した教育の調査結果などが話された。

看護教員の質の向上に向けての課題に関しては継続教育やキャリア発達を考えた組織づくりや変化する学生や専門知識について理解する必要性や新たな教育方法を学ぶ必要性を述べた。

また、領域横断の考え方に基づくカリキュラムの設定案(指定規則をベースに領域横断可能な科目の設定、成人・老年・小児・母性・精神の領域横断し「健康状態別看護」の設定)などが看護基礎教育検討会の資料より提示された。

厚生労働省HP看護基礎教育の検討会(第2回)資料参照

情報提供として

  • 准看護師試験の業務委託が2019年4月施行、2019年から委託が可能になる省令案
  • B型肝炎に関する教育の推進依頼などがなされた。

以上